ぶどう膜炎とは
ぶどう膜は脈絡膜(みゃくらくまく)と毛様体、虹彩の3つの組織から成り立つ部分を総称してぶどう膜と呼び眼球の他の組織と比べて血管が豊富な組織となっています。
ぶどう膜炎とは、何らかの理由でぶどう膜の組織に炎症が生じた疾患です。
ぶどう膜炎の主な自覚症状
視力低下をはじめ、目の痛みや充血、かすみ目、視界が眩しい、飛蚊症などの症状が起こります。
特徴疫学
我が国で頻度の高い疾患はサルコイドーシス、Vogt―小柳―原田病(フォークト―小柳―原田 病)、 Behçet 病(ベーチェット病)、細菌性眼内炎,ヘルペス性虹彩炎の順となっています。全症例の 16% が感染性ぶどう膜炎とされ、また約40%は分類不能例になります。
ぶどう膜炎は大きく感染性と非感染性に大別されます。原因により治療法も異なるため、ここでは代表的なぶどう膜炎に関して解説していきます。
ベーチェット病
目以外に起こる症状
痛みを伴ったアフタ性潰瘍(まだら状に生じる小潰瘍)が発生します。
- 口腔粘膜の再発性アフタ性潰瘍
- 皮膚症状(結節性紅斑様皮疹、皮下血栓性静脈炎、毛嚢炎様皮疹、ざ瘡様皮疹)
- 外陰部潰瘍
原因・治療法
病因はいまだ不明であるが、本病は特定の内的遺伝要因のもとに何らかの外的環境要因が作用して発症する多因子疾患と考えられている。
眼病変に対してはステロイドでの加療が中心となりますが、難治例ではコルヒチンや免疫抑制剤も使用されます。
サルコイドーシス
概念
サルコイドーシスは全身いたるところに病変ができる可能性があるので,臨床像はきわめて多様で,ときにサルコイドーシスと診断されないままに経過をみているような場合もあります。眼に起こるブドウ膜炎もサルコイドーシスの診断基準に含まれ、サルコイドーシスの診断・治療に非常に重要な所見です。内科と連携しての診断・加療が必要となります。
目以外に起こる症状
リンパ節と肺と眼と皮膚が好発部位で、それ以外に、心臓、神経・筋肉、骨、関節と広範囲に症状が出現します。
具体的には肺門や気管の周りにあるリンパ節の主腫や肺症状として呼吸苦等になります。
皮膚症状としてサ症の皮膚病変は皮膚サルコイド、瘢痕浸潤 、結節性紅斑に分類され、皮膚サルコイドには結節型、局面形成型、皮下型、びまん浸潤型、その他があります。
原因・治療法
原因は不明とされているが、疾患感受性のある個体において、病因となる抗原によりTh1型細胞免疫反応(IV型アレルギー反応)が起こり、全身諸臓器に肉芽腫が形成されると考えられています。
治療としては現状では原因不明であり根治療法といえるものはなく、肉芽腫性炎症を抑える治療が行われます。
ぶどう膜炎の検査方法
基本的な眼科検査だけでなく、全身に症状を来すため内科とも連携をとり診断をつけていく必要があります。しかし前述の通り、あらゆる検査を行っても約40%は原因が特定できません。